となりのベトナム人技能実習生

こんにちは、かずしいです。

外国人技能実習生。

建前としては、発展途上国の若者に日本の技術を働きながら学んで貰い、自国の産業、経済の発展に活用してもらうことを目的とした、国際貢献事業である。

しかし、実態は、技能実習生は、日本の農業、建設業、製造業などを支える、実質的な外国人労働者である。

しかも、訪日前にブローカーに多額の借金をし、低賃金や、それどころか最低賃金以下の報酬や無報酬で、劣悪な労働環境の職種、職場での労働を余技なくなれるケースが後を絶たず、「現代の奴隷制度」と呼ばれることもある。

少し前にテレビニュースで見たのだが、コロナ禍で外国人実習生の渡航の見通しが立たない中で、受け入れ先の農家の人が、「働き手が足りなくて、収穫作業が進まない。困った」といったコメントをしていた。

せめて建前でも、「実習生が来なくて国際貢献できず、残念です」くらい言えよ、と思った。

その農家の発言や、番組制作者が何の疑問もなくそれを放映していることからも、もう誰も技能実習生の受け入れを、国際貢献などと思っていないことがわかる。技能実習生は、日本人では求人しても集まらない、低賃金かつ過酷な労働環境の仕事を肩代わりしてくれる、安い労働力なのだ。

かつて技能実習生の多くは中国出身者が占めていたが、近年減少傾向にあり、それをベトナム人実習生が補っているという。

2019年6月24日に、NHKのドキュメンタリー番組で、愛知県の縫製工場で非人間的な環境で働かされていることが取り上げらたのも、ベトナム人女性の技能実習生だった。

わたしが、パート勤務するクリニックでも、患者さんには、ベトナム人技能実習生が数人いる。

また、わたしの住む地方都市の町中でも、ベトナム人の若者を目にすることが珍しくなくなった。

加えて、わたしの母方の祖母が住んでいるアパートの2階が、ベトナム人技能実習生の借り上げ寮になっている。

祖母のアパートは、台所と6畳位の二間、風呂・トイレ別で、一人暮らしには余裕がある間取りだ。

しかし、大人2人では、手狭な印象である。アパートは2階建て、上下2部屋ずつあり、間取りはすべて同じ。その2階に、一部屋あたり3人、合計6人のベトナム人実習生が暮らしている。

6人は全員20代〜30代前半の男性。二間しかないので、当然個室はないだろう。正直、成人男性3人で住むには狭すぎる。そんな状態で、彼らが暮らし始めて今年で3年目になる。

仕事は3交代制で、実習先の工場で製品の梱包作業をしているそうだ。6人の内一人は既婚者で、ベトナムに就学前の子どもがいるらしい。

以上の情報は、わたしの祖母が実習生に話しかけ、直接聞いた話だ。祖母のコミュニケーション能力の高さには、いつも驚かされる。

彼らは来年3月で契約期間を終え、帰国するそうだ。

業務の内容は詳しくはわからないが、3交代で梱包作業を3年間やって、何の技術や技能が学べるんだろうか、と思った。呼び方は実習生でも、実態は低賃金の期間工だ。

祖母のアパートの2階に住むベトナム人実習生たちが勤めている会社は、そこそこ名の知れた企業だが、多くの実習生の派遣先は、家族経営などの零細企業や農家、工場である。つまり、収益性が低く、競争力がない業種や会社を、国が税金を使って外国から集めた低賃金労働者を派遣することで、何とか延命しているという状態だ。

奴隷を使用しないと保たない会社や仕事を、国が主導して継続させて、いったい何のためになるんだろう。

奴隷を使って利益を上げていた、言い換えれば、奴隷を使うことを織り込まなければ利益を挙げられなかった南北戦争前の南部アメリカのように、そんな制度はいずれ競争に負けて、滅び去る。

どうしてもその仕事を存続させたければ、現代の奴隷制度に頼るのではなく、根本的に事業を見直すか、それができないなら、廃業して別の道に進んだ方がいい。

日本では、仕事は尊い、どんな会社や業種も存続させることが正義といった風潮が強い。

しかし、仕事が尊いか、存続させるに値するかは、当たり前だが、その仕事・会社に価値や未来があるかが問題なはずだ。

わたし自身も、そうした奴隷労働の恩恵を受けているだろう。

しかし、その恩恵を失って一時的に不便を被ることになっても、奴隷を使っている企業の製品やサービスは使いたくない。それを許容してしまったら、結局、彼らと同じく賃金労働者である自分自身の奴隷化も認めなくてはならいからだ。

日本政府は、外国実習生の問題に対して、腰がめちゃくちゃ重いので、改善は遅々として進まない。

せめて、実習生同士のネットワークで、日本での実習環境が劣悪なことを知り、日本行きを希望する実習生がどんどん減ってくれることを願う。

そうなれば、わたしを含めて日本人は困るだろうが、自分が本当に困らなければ、奴隷労働を受容しているという環境を変えようとは思わないだろうから。

参考文献

『奴隷労働 ベトナム人技能実習生の実態』 巣内尚子

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